特集

「住宅弱者」の入居で困った問題。今後の解決策は?実態調査のご紹介

2020.09.10

LIFULLでは、さまざまなバックグラウンドを理由に住まいの選択肢が限られてしまう「住宅弱者※」を取り巻く課題を顕在化させることを目的に、一部LIFULL HOME'S会員様(賃貸仲介・賃貸管理)へ無記名式の調査を実施いたしました。
ご協力いただいた会員様におかれましては、貴重なご意見をいただき誠にありがとうございました。今回は調査結果をご紹介させていただきます。
 

<記事のトピックス>

①新型コロナ拡大前後で不動産会社が入居希望者審査で重視する項目に変化。
より家賃収入面の安定を重視する傾向に


②外国籍の方への賃貸契約で実際に困った問題 最多回答は意思疎通の問題ではなく
「平等に与えられたルールの順守」で約6割


③超高齢社会における住宅問題が顕在化!賃貸管理を行う不動産会社の
約半数が「高齢者の孤独死や連絡の無い急な退去で困ったことがある」と回答


④今後「住宅弱者」からの入居希望を受け入れるために必要なのは
​「不動産会社やオーナーの理解」「住宅弱者に向けた国や自治体の保障制度に関する知識・情報」


(最後に)「住宅弱者」問題に対するLIFULL HOME'Sの取組み


(各トピックスの掲載画像は、クリックすると拡大表示されます。)


※LIFULL HOME'Sでは、高齢者、外国籍、LGBTQ+、障がい者、生活保護利用者の方など、さまざまなバックグラウンドを理由に賃貸物件を借りにくいなど住まいの選択肢に制限がある方を「住宅弱者」と定義しています。

※昨年11月には「住宅弱者」のユーザーを対象とした調査も実施いたしました。こちらの調査結果もあわせてご覧ください。

①新型コロナ拡大前後で不動産会社が入居希望者審査で重視する項目に変化。より家賃収入面の安定を重視する傾向に

新型コロナ感染症拡大前に「入居希望者を審査する際に重視していた項目」を尋ねたところ、最多数は「年収」(56%)、次いで「人柄・身なり」(49%)、「年齢」(43%)と続き、人間性等が重視されていたことがわかります。
一方、新型コロナ感染症拡大後に「より重視するようになった項目」を尋ねると、こちらも最多数は「年収」(29%)となりましたが、次点では「勤務先」(25%)、「職業」(22%)と、より賃貸収入面の安定に直結する項目が重視されるようになったことがわかりました。先行きが見えない状況下で、貸す側としても収入面の不安が増加していることの現れなのかもしれません。(グラフ①-1・①-2) 



②外国籍の方との賃貸契約で実際に困った問題、最多回答は意思疎通の問題ではなく「平等に与えられたルールの順守」で約6割

不動産事業者(賃貸管理)の96%が「入居者について(行動・対応で)困った経験がある」と回答しました。
さらに、具体的にどのような入居者のどのような理由で困った経験があるか尋ねたところ、外国籍の方との賃貸契約において最も多かった回答は「入居ルールを守ってもらえなかった」で、賃貸管理を行う不動産事業者の57%が経験していることがわかりました。
コミュニケーション上の問題よりも、入居者に平等に与えられたルールを守ってもらえないという、入居後のマナーやルールへの理解が、物件を貸し出す上での課題になっていることが明らかになりました(グラフ②)。

③超高齢社会における住宅問題が顕在化!賃貸管理を行う不動産会社の約半数が「高齢者の孤独死や連絡の無い急な退去で困ったことがある」と回答

②と同様の質問で高齢の方との賃貸契約において入居者の行動・対応で困ったこととして最も多かった回答は「連絡のない急な退去や孤独死により、退去手続きやその後の対応が大変だった」で、賃貸管理を行う不動産事業者の約半数が経験しているという結果となりました。
超高齢社会の日本における住宅問題が、実際に物件の賃貸にあたっても課題になっていることがわかります。(グラフ③)

④今後「住宅弱者」からの入居希望を受け入れるために必要なのは「不動産会社やオーナーの理解」「住宅弱者に向けた国や自治体の保障制度に関する知識・情報」

今後「住宅弱者」とされる方からの入居希望を受けた際の対応として、「受け入れたい・どちらかといえば受け入れたい」と回答した不動産事業者は約7割となりました。
そして、今後「住宅弱者」の方の入居希望を受け入れていくにあたり「現在足りていないこと・必要なことは何か」という質問に対し多かった回答は、「不動産会社(管理)やオーナー側の理解」(56%)、「入居者共通のルールを順守する等、借りる側の態度変容」(54%)、「『住宅弱者』向けの国・自治体などの保障制度に関する知識、情報」(51%)となり、借りる側である「住宅弱者」と、貸す側である不動産事業者のそれぞれが取り組むべき項目がほぼ同じ割合となりました。(グラフ④)



調査概要
【調査期間】:2020年8月6日〜2020年8月13日
【調査方法】:インターネット調査
【調査対象】:LIFULL HOME'Sに加盟する全国の不動産事業者(賃貸仲介・賃貸管理)290名

この結果から、借りる側・貸す側が共に、お互いの理解を深めることが重要であるという認識があり、こうした社会問題に対する保障制度の見直しや根本的な知識が足りてないと感じていることがわかりました。

コロナ禍の社会変化によって生活がギリギリのところで立ち行かなくなる現状から、従来の生活保護とは別に国や自治体が設けている緊急小口資金貸付(※1)や住居確保給付金(※2)などの制度を利用する方は実際に急増しています。

今までの生活が大きく変わってしまった方や、今後「住宅弱者」となってしまう可能性のある方にとって、こうした制度や保障についての理解を深めることは、「住宅弱者」という社会問題への理解でもあり、未来の自分や大切な人の為にも重要なことです。
 
※1:生活福祉資金の特例貸付 緊急小口資金について
※2:住居確保給付金

「住宅弱者」問題に対するLIFULL HOME'Sの取組み

LIFULL HOME'Sでは昨年11月、さまざまなバックグラウンド(高齢者、外国籍、LGBTQ+、障がい者、生活保護利用者など)を理由に賃貸物件を借りにくいなど住まいの選択肢に制限がある方を「住宅弱者」と定義し、彼らが抱える住まいの課題を解決するための事業活動として「LIFULL HOME'S ACTION FOR ALL」を発足いたしました。

発足から約1年、コロナショックや相次ぐ災害によって社会情勢が大きく変わった現在の環境下において、以前から住まい・暮らしに関する制限を抱えていた「住宅弱者」にとって、より一層その制限が強まってしまう状況が生まれているのではないかと考えました。

そこで今回、「住宅弱者」の存在と彼らが抱えている問題をより多くの方に知ってもらいたい、コロナ禍の社会情勢を通して「誰しもが『住宅弱者』の当事者になり得る」ということを伝えたい、という想いから、9月1日から9月7日まで渋谷周辺エリアにて、「住宅弱者」問題を問いかける屋外広告を掲出しました。



LGBTQ+の方、外国籍の方、シングルペアレントの方、高齢者の方など「住宅弱者」として住まいの選択肢が限られてしまう方は実際に日本にも多く存在します。
そこで、屋外広告掲出に連動し、「住宅弱者」が自分にとってより身近なものであると理解してもらえるよう、「住宅弱者度CHECK LIST」も制作しました。




この先、自身が災害や不慮の事故、コロナ禍におけるパンデミックなど予期せぬ不可抗力によって「住宅弱者」になる可能性は誰にでも存在します。自分自身だけでなく身近な家族・友人が「住宅弱者」になる可能性も否定できません。
自らが「住宅弱者」である、または「住宅弱者」の予備軍に該当するかもしれないと感じる人は少ないかもしれませんが、LIFULL HOME'S では「LIFULL HOME'S ACTION FOR ALL」の取り組みが、他人事ではない「住宅弱者」問題について、より多くの方に考えていただく機会となることを願っています。

LIFULL HOME'Sは、「LIFULL HOME'S ACTION FOR ALL」のユーザーと不動産会社の想いを繋いでいく活動を通して、あらゆる人があらゆる可能性の中から自分の生きたいLIFE、“したい暮らし”が実現できる社会を目指してまいります。